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日本での10年以上で、私は何を得て、何を失ったのか

私が日本に来たのは24歳の時でした。
正直に言うと、大きな夢を持って来たわけではありません。
世界を変えたいと思っていたわけでもありません。
起業したいと思っていたわけでもありません。
そして、10年以上も日本で暮らすことになるとは想像もしていませんでした。
ただ、仕事が必要でした。
チャンスが必要でした。
そして何より、家族を支えるためにお金を稼ぐ必要がありました。
これまで何度も日本人に聞かれました。
「なぜ日本に来たんですか?」
正直、その質問をされるたびに少し考えます。
相手はどんな答えを期待しているんだろう、と。
もしかしたら、
「アニメが好きだから。」
「日本文化が好きだから。」
「昔から日本に憧れていたから。」
そんな答えかもしれません。
でも私の答えはずっとシンプルでした。
仕事関係の人には、
「仕事のためです。」
と答えます。
仲の良い友人には、もう少し正直に話します。
「家族を支えるためにお金を稼ぎたかったからです。」
特別な物語ではありません。
夢を追いかけた話でもありません。
当時の私にとって、それが現実でした。
そして今でも、それが一番正直な答えだと思っています。
若い頃は「選択」という言葉をよく聞きます。
でも人生には、あまり選択肢がない時期もあります。
目の前にある道を進むしかない。
私はただ、その道を歩きました。
1年が過ぎました。
2年が過ぎました。
5年が過ぎました。
そして気がつけば10年以上が経っていました。
日本が私に与えてくれたものは何だろう。
そう考えると、まず思い浮かぶのは「成長」です。
長く家族と離れて暮らすと、人は嫌でも成長します。
問題を解決してくれる人はいません。
代わりに決断してくれる人もいません。
人生の責任を取ってくれる人もいません。
楽しい日もありました。
孤独な日もありました。
帰りたいと思った日もありました。
それでも翌朝になれば仕事へ行かなければなりません。
次に得たのは、物事を見る視点です。
日本で働く中で、仕事や人生に対する考え方が少しずつ変わりました。
昔は大事だと思っていたことが、今ではそれほどでもない。
逆に、若い頃は気にもしなかったことが、とても大切になりました。
信頼。
一貫性。
責任感。
約束を守ること。
そして三つ目は少し意外かもしれません。
後悔です。
私はたくさん失敗してきました。
仕事でも。
人間関係でも。
人との接し方でも。
当時は正しいと思っていた判断でも。
取り戻せないものがあります。
もう会えない人もいます。
戻ってこない機会もあります。
でも、そういう経験があったからこそ学べたこともあります。
自分は完璧ではないということ。
人生には代償を払って初めて分かることがあるということ。
では、日本は何を奪ったのでしょうか。
家族と過ごす時間です。
たくさんの食事を逃しました。
祝日も。
集まりも。
当たり前だと思っていた時間も。
そして若さです。
私の若さの一部は、朝の満員電車やオフィス、プロジェクト、会議、締切の中に置いてきた気がします。
そして人とのつながりです。
長く同じ場所にいると、少しずつ人生から消えていく人がいます。
喧嘩したわけではありません。
嫌いになったわけでもありません。
ただ、お互い違う方向へ進んでいっただけです。
もし24歳のあの日に戻れるなら、私はもう一度日本へ来るでしょうか。
はい。
私はまた来ると思います。
それが完璧な選択だったからではありません。
大きな夢があったからでもありません。
未来が見えていたからでもありません。
当時の私には、それ以外にもっと良い選択肢がなかったからです。
仕事が必要でした。
お金が必要でした。
家族を支える必要がありました。
人生はいつも正解と不正解を選ばせてくれるわけではありません。
その時に持っている選択肢の中から選ぶしかないこともあります。
10年以上経った今、私は自分が勝ったとも思いません。
負けたとも思いません。
ただ、その時に持っていた選択肢の中で、一生懸命生きてきた普通の人間がいるだけです。
そして、それで十分なのかもしれません。


